私は何のためにこの世にいるのか

ホメオパシーの天才的な創始者S.ハーネマンは著書「慢性病論」で、自分が何のためにこの世に生きているのかを鋭く自問自答している。

この世にいる理由は、力の限りより良くなるためであり、周囲をより良くするためである、と。

混乱する現代、巷にはヒーラーを名乗る人々で溢れているが、その中のどれだけの人々がハーネマンが語る癒しの原点まで突き進んでいるだろうか。

「人は自らが癒えるその余波でしか人をいやすことはできない」、とハーネマンは語り、他人を癒してやろうという驕りからは程遠い所に立つ。

彼の視点は、心身の限界を持つ生身の人間である自分を厳しく見据えるところから始まり、自分のために生きているように見えるから、言葉遊びのように癒しを標榜する輩から見れば、聖なる癒しにエゴイズムが混じっているようにも見えるし、聖人のとるべき姿勢ではないように見えるかも知れない。

しかし、見方を変えてみれば、病んだ人でなければ見えない世界を知っているということにもなる。

医者にかかるなら病んだことのある医者にかかる方がいい、とまで言われている現在、ハーネマンは病んだ人のみが知る世界を知り、そこから浮上し光を放つことができたからこそ、自分が創始した医術に絶大な信頼と責任を感じながら世の中に提示することができた人だった。

ハーネマンが説く、癒しに携わる人の大切な姿勢を忘れないようにしたいものだ。